また、写真集「増田の蔵」に唯一載っていた「波に兎」の鏝絵のある「松浦千代松家」では、ご当主に伺ったところ、今回公開された内蔵の奥にある外蔵の冠木の部分にある、他の部分は剥がれているが鏝絵は綺麗に残っているとのことであった。「蔵の日」に間に合わせるために十分に片付かない状態とのことであったが、ご当主の眼の前で写真も撮ってしまい、外へ出ると撮影禁止の張り紙があった(^_^;)。
「日の丸醸造」の蔵は、今回の蔵の白眉でもあり、代表として紹介する。
日の丸醸造の店舗外観と内蔵(明治41年建設の文庫蔵)の入口。一部の黒漆喰は今でも鏡のように黒光りがしている。

平成16年に修復された蔵に入ると、一階の奥は座敷になっている。総漆塗りだが厭みがなく上品な印象。

漆塗りの五寸五分角のアオモリヒバの通し柱が一尺間隔で並び防犯性に優れているが、モダンな感じがする。左は手前の板の間の柱、右は奥の座敷の柱は上1/3部に横に柱がありアクセントになっている。

二階は無垢の欅の梁、この圧倒的な存在感は、私の画像では全く伝わらない。
手を伸ばすと梁に直に触れることができる。手を当てると呼吸をして、こちらを見つめているような感触。

細部を見ても素晴らしい。一階の奥のガラス戸には、磨り硝子で絵が描かれていた。亀甲模様の欄間の細工も丁寧でモダンな感じが共通している。階段回りなども職人の意気込みが伝わってくる。

左は内蔵入り口前の照明だが、これもモダン。
右は「炭入工芸衝立」と金魚の染め付け器に陶器の浮き球(初めて見た)、加湿の意味合いもあるのだろうが何とも雅び。

一階部分の障子の細工も芸術品。二階の行燈もやはりモダン。

贅を尽くしても上品で、全く古さを感じさせない素晴らしい蔵。
JBLからの静かな調べが雰囲気を盛り上げ、ため息しかでなかった。
ここでジャズ(Art Pepper がいいな~)を聞きながら「まんさくの花」を飲んだら、と想像してしまった。
今回は、見返りもないだろうに、このように内蔵を見せて頂く機会を設けて頂き、関係者の方々には本当に感謝いたします m(_ _)m。あまカメラマンさんの「蔵は生き物である。そして美しさとは感銘である」を実感することができました。この催しが続くこと、公開蔵が増えることを期待するとともに、本当に大変だと思いますが後生に残して頂きたいとお願いいたします m(_ _)m。
【追記】日の丸醸造の社員の自由日記で「蔵の日」が取り上げられていました。ここをクリック。
同じく日の丸醸造の文庫蔵の写真は、ここをクリック。
【追記】2006.11.13 日の丸醸造様から画像掲載許可のメールを頂きました m(__)m
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