木にエと単純な漢字だが見たことがなかった。
木工で「もっこう」?
杠 = ゆずりは
姓・名字・苗字の全国ランキングで見ると
24706位 登録件数40件
かなり珍しい苗字のようだ。
木へんなので、樹木由来かと思ったが、かのんの樹木図鑑で見ても譲葉ユズリハという樹木はあるが、杠の字は当てられていない。
ということで、調べ始めてみた。
・ユズリハは雌雄異株の常緑高木。高さ6m内外。
・若い枝と葉柄は紅色を帯びる。
・4〜5月頃緑黄色の小花を総状につける。
・楕円形の核果は11月頃熟して暗緑色となる。
・新しい葉が生長してから古い葉が譲って落ちるので、この名がある。
・葉を新年の飾り物に用いる。
・枕草子には「ユズリハのいみじふさやかにつやめき」と書かれている。
“ゆずりは”は、万葉集にも歌われているほど、いにしえの昔から親しまれてきた常緑樹。
春の新葉を見とどけて古い葉が散るので、譲り葉という名がついたと言われます。
地名シリーズには「楪(ゆずりは)」もあった。
楪(ゆずりは) 青山崇
民報藤島2004年3月14日第436号
楪は難解地名としてよく紹介され、山形新聞に連載され出版された『やまがた・地名伝説』も、町内の無音・須走・平足・八色木などとともに取り上げています。
楪は新旧葉の交代がよく目立ち、譲られていくことから、親子の家譲りも安泰におこなわれることを願って集落名としたこと、漢字で意味をよく表しているのは譲葉ですが、杠葉・柊とも書かれ、楪集落もそう書かれたこともあり、楪は文字を記す薄い木簡の意味もあり、葉がこの木簡に似ていることから表記にされたこと、明治9年(1876)にこの表記が確定したことなどを、郷土研究サークル員の阿部公彦さんの話をもとによくまとめられています。
ここでは全国のゆずりは地名なども紹介しながら、もう少し考えてみましょう。枕草子に「ゆづり葉のいみじうふさやかにつやめき、」などとあって、昔から親しまれた木のようです。ゆずりは地名は数10ほどあり、譲葉が一番多いのですが、譲羽(じょうば・ゆずりは)・弓弦葉・遊鶴羽・杠・紅葉などがあり、楪も愛知県阿久比町(あぐいちょう)・岐阜県八百津町(やおつちょう)・大分県豊後高田市(ぶんごたかだし)に、楪葉が福岡県久山町(ひさやままち)にあり、楪は全国でただひとつではないのです。
庄内では譲葉が平田町・西坂本にあり、羽黒町町屋の遊摺木田(ゆすりぎだ)も、石動(いするぎ)で石動神社の田との説もありますが、ゆに遊を当て、ずりに摺を当てる例があることから譲木田と考えられます。杠は佐賀県三瀬村(みつせむら)の大字ですが、室町時代に当地を支配した杠(ゆずりは)氏に由来するといいます。紅葉は大分県耶馬渓町(やばけいまち)にあります。
辞典には譲葉は新旧葉の交代の妙なる木の総称とあるので、紅葉(もみじ)・杠(こう)・柊(ひいらぎ)なども、ゆずりはの新旧葉の交代に似ていることから当て字にされたのでしょう。(青山)
「最初の授業」を振り返る
30数年前、教育実習で河井酔茗の詩「ゆずり葉」に寄せて授業をしたことを思い出しました。
これぞこの春を迎うるしるしとてゆずるはかざしかえる山人 知家
年末年始の山仕事を終え、ゆずりはをかざして帰る山人の姿を詠んだ和歌ですが、新春を迎えるにあたっては欠かすことのできない、大事な木の葉であったようです。神に供える酒食をその葉の上にのせた風習は、現在、鏡餅・お供えの下敷きとして裏白と共に使われています。
枕草子にも祖霊に捧げるものをのせる「敷物」として述べられ、
ゆずりはの いみじゅうさやかにつやめき 茎はいと赤く きらきらしく見えたるこそ あやしけれど いとおかし
と清少納言独特の表現で愛でています。
ゆずりはの名の由来は、古い葉が、目立たぬようにぼつりぼつりと落ちて新葉にその位置を譲っていく「譲葉」、つまり人の世も若い人に上手に世代を譲っていかなければならない、というところからきています。
しずかなる冬木の中のゆずり葉のにほう厚葉に紅のかなしさ 茂吉
「ゆずり葉」 河井酔茗
子供たちよ。
これはゆずり葉の木です。
このゆずり葉は
新しい葉が出来ると
入り変わってふるい葉が落ちてしまうのです。
こんなに厚い葉
こんなに大きい葉でも
新しい葉が出来ると無造作に落ちる
新しい葉にいのちをゆずってーー。
子供たちよ。
お前たちは何をほしがらないでも
すべてのものがお前たちにゆずられるのです。
太陽のめぐるかぎり
ゆずられるものは絶えません。
かがやける大都会も
そっくりお前たちがゆずり受けるのです。
読みきれないほどの書物も
みんなお前たちの手に受け取るのです。
幸福なる子供たちよ
お前たちの手はまだ小さいけれどーー。
世のお父さん、お母さんたちは
何一つ持ってゆかない。
みんなお前たちにゆずってゆくために
いのちあるもの、よいもの、美しいものを、
一生懸命に造っています。
今、お前たちは気が付かないけれど
ひとりでにいのちは延びる。
鳥のようにうたい、花のように笑っている間に
気が付いてきます。
そしたら子供たちよ。
もう一度ゆずり葉の木の下に立って
ゆずり葉を見る時が来るでしょう。
河井酔茗1874〜1965。大阪府堺市生れ。東京専門学校中退。「文庫」の詩欄を担当し、いわゆる文庫派詩人を形成。のち詩草社を設立し、口語詩運動に寄与した。代表作に『無弦弓』『塔影』等がある。
譲り葉 トウダイギサ科の常緑高木。高さ6メートル内外。若い枝と葉柄とは紅色をおびる。葉は長楕円形で厚く、雌雄異株。4、5月の頃、緑黄色の小花を総状に配列し、楕円形の核果を結び、11月頃熟して暗緑色となる。新葉が成長してから旧葉が落ちて譲るのでこの名がある。葉を新年の飾り物に用いる。
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