冒頭で「浜口さんは、絵が分かるとか、絵についてしゃべるとかっていうことはくだらないことであって、好きか嫌いかだけでいいんだっておっしゃっているんですね。」と話したのが印象的だった。
かみさんに付き合って行った、東京の水天宮前の Musse 浜口 で作品、道具類を見て見入ってしまった。
その後、引き寄せられるように、手元にてんとう虫があることが不思議。

当たり前ですが、写真では作品の良さは伝えられません。
番組では、カラーメゾチントの技法についての分かりやすい解説があった。
メゾチントは、銅板を金属製の刃物で細かい傷をつけて表面全体にざらざらなささくれを作る→ささくれを削ったり均したりして溜まるインクの量を調節して黒と白の濃淡を表現する。
浜口のカラーメゾチントは、色ごとに4枚の銅板を作り、それぞれに黄・青・赤・黒のインクを塗り、重ね合わせていく→色が重なって微妙な色彩のハーモニーを生み出す。
もの凄い手間のかかる繊細な技法、しかし、作品は静謐そのもの。ため息が出る。

この人が語る私の愛する画家
山田太一(脚本家・作家) 私と浜口陽三
「ふぞろいの林檎たち」や「日本の面影」。数々の名作ドラマで知られる脚本家・作家 山田太一さん。山田さんが愛してやまないのが銅版画家・浜口陽三(1909〜2000)である。ある展覧会で周りの作品がすべて色あせて見えたほどの衝撃を受けて以来、浜口は山田さんにとって特別な存在であり続けてきた。
戦前21歳でパリに渡り、戦後もパリとサンフランシスコを制作の舞台にしてきた浜口陽三はエンサイクロペディア・ブリタニカに「カラー・メゾティント(銅版画の技法)の開拓者」として紹介されるほど世界的な評価を得ている画家である。
しかし浜口の描く世界はさくらんぼや西瓜やレモン、貝殻や蝶など小さくて、ごくありふれたものだけだ。漆黒の闇に浮かぶ赤いさくらんぼや黄色いレモンを浜口は繰り返し描く。山田さんは言う。「浜口の世界は恐ろしいほど自己限定的だ。さまざまな可能性を追求するのが芸術家の業なのに浜口は他の可能性を断念し、銅版の黒い闇の追求に賭ける。それは晩年の小津安二郎の世界に通じる」と。
山田太一さんが自らの作劇法も交えつつ、日常のありふれたものを非日常に変身させる浜口の静物画の真髄を語る。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)







